2020/02/20
2回目のシスプラチン(抗がん剤)の治療を終えて一時退院。
やっぱり病院の外は気持ちが良い。
治療のために借りている部屋に戻って、お昼を食べた。
病院からの帰りによったスーパーで買ったカツ丼、黒酢と春雨の和物、ハンバーグ。
食べたいと思った物を買って見たけどほとんど味がわかんない。2割くらいかな。
カツもハンバーグも全然味がわからなかった。
放射線治療15〜20回の間に急激に味覚がわからなくなった気がする。
幸い、味を感じないだけで変な味や苦味に感じたりはしない。
食感の変化はパン、白米くらい。これらはやけにパサパサする。
パンはジャムやバターでしっとりさせたり、白米は食べず茶漬けやソース類をかける事で対応している。
そして救いは酢の味はまだわかる。4割くらいわかる気がする。
酢の味かつカロリーの取れる物を摂取するのが良いかも。
体にいいしさっぱりしててちょうど良い。
ご飯を食べてゴロゴロ。借り住まいと言えど落ち着くもんだ。
すっかりこちらの暮らしにも慣れた。
◯
あっという間に晩ご飯の時間。
母が工夫を凝らして作ってくれた。
豚のポン酢あえと、いなり寿司、大根の酢の物、具沢山の味噌汁。
酢のものは味がまだわかるのでありがたい。
肉の味がほとんどわからなくなっていただが、ポン酢の味はわかるので風味で食べられた。いなり寿司も酢飯のおかげですすむ‼︎
具沢山の味噌汁にはなめこが入っていてつるんと喉に入る。
豆腐が大きくごそっと入っているので腹もいっぱいになった。
味噌、と言うか塩気のあるものは逆に物凄く塩辛く感じてしまう…
母が工夫を凝らしてくれたおかげで結構美味しくご飯を食べれた。
病気になる前は醤油やソースなど味の濃い物が好きだったけど、20半ばにして酢が一番好きな調味料になるとは思わなかったよ。
これは病気の嬉しい後遺症の一つかもしれないね。
◯
02/21
この日も通院で放射線治療があるので歩いて病院まで行った。
久々に外を歩けるのはとても気持ちが良い。
病気をするまで面倒だった事柄の数々は、私にとってとても幸せな事になった。
◯
23回/35回の放射線治療を終えて、
この日は久々に放射線治療医の診察もあった。
鼻からファイバースコープを入れて喉を見てもらう。
何回やってもこれは痛いし泣きたくなる。
痛い思いをしたのならそれなりのご褒美が欲しい。そんな世の中であって欲しい。
カメラを抜いた後、担当医は
「喉の腫瘍はもう(カメラでは)すっかり見えませんね」と言ってくれた。
前回(二週間前)からもうほとんど見えてなかったのだけど、やっぱり嬉しい。
その後放射線治療の認定看護師さんとの診察もあって、
食事のことや治療の事と言った私の病気に直接関わる事はもちろん、
家族の事や職場の事などの話も聞いて下さってとても親身な病院だなと思った。
同時に、こういう事を含めて〝看護〟なのかとも思った。
◯
病院を後にしテクテクと歩いて借りている部屋に向かう。
途中、モンベルのショップがあるので寄り道。
登山、アウトドアのブランド。
このお店の中を散策してると早く治療を終えて山にまた行きたいなと思わせてくれる。
近くにモンベルのショップがあるなんて本当に恵まれてるね。
モンベルを後にしてさらにショッピングモールに寄り道。
久々のシャバなのであっちもこっちも寄り道したくなる。
お目当てはショッピングモール内のたい焼き屋さん。
カスタードの物を一つ買って、ショッピングモールを後にして帰り道に早速頬張る。
「うーん…」一口目は確かにカスタードの風味があったのだが味がわからない。
甘みを感じにくい事はわかっていたが悲しいもんだ。
でも、しっとりとしたカスタードのおかげでパンよりは美味しく食べれた。
動いた時は甘い物を食べねば体重が減ってしまう。
この日も良い距離を歩けた。
明日から三連休、あえて人混みに行くのも怖いので引きこもって本でも読もうかと思っている。
◯
ツーリングチームの〝兄貴〟が、ちゃんぽんとサプリを送ってくれた。
ありがとうございます。
食べやすいので入院中も夜食にいただいてた。
海鮮だしの味なのでまだ味がわかって美味かった。
ビタミンCのサプリも毎日欠かさず飲んでいる。
ビタミンCは皮膚や粘膜の再生に役立つので今の私にぴったりなのだ。
(治療中の方はサプリメントを摂る場合、内科主治医に相談して下さいね)
◯
病気がわかり関西を離れるとき、一台置いていかなければならなかったバイク(Ninja250R)を今ツーリングチームの兄貴が預かってくれている。
昔乗っていたバイクでオンボロだし全く動かしていなかったのだけれど、兄貴とその仲間達が少しずつ直しては近況報告をしてくださっている。
兄貴は「帰ってきたとき乗れるバイクあったらええでしょ。楽しみを作らないと。」って言ってくれていたけど、治療の終わりが見えてくるにつれてその言葉の意味を理解した。
◯
兄貴はチャキチャキの関西人で、よく冗談を言う。
治療が始まる直前、バイクを売った事を伝えると「ほな新しいの買ったらええやん。帰ってきたら乗れるんやで、こんな楽しみないで‼︎」と言っていた。
治療が始まる前の僕のイメージと言うものは、暗いと言う事はなかったけど、正直明るいこともないし不安でいっぱいだった。
本当に治療が完遂するのか、完遂したとして自分はどんな状態になるのか。
その時は「そうですね」とは答えたけれど、治療の金銭面の不安もあるしバイクなんて買えないなと思っていた。
しかし、いざ治療が始まってみるとどうやらしばらくは死ねそうにない。
しかもバイクにも乗れる状態で関西に帰れそうだ。
まだ死なないとわかればこれからしたい事がポンポンと浮かんでくる。
一度死を意識した者で、したい事を先延ばしする愚か者はいないだろう。
「いつ死ぬかわからないから宇宙に行きたい」と借金を抱えるのは大馬鹿だが、実現可能な事ならばすぐにでも取り掛かるべきだ。
◯
そして僕は中古の古いバイクを一台買った。
まだ手元にきていないので写真はないが、小さくて可愛いバイク。
以前乗っていた200km/hも出るバイクじゃないけど、早くても遅くても、新しくても古くてもバイクはバイク。面白いことに変わりはない。
治療が終わって関西に戻った時に乗れるように段取りしてる。
関西に帰るまでそのバイク会えないのがもどかしいが、これは関西に帰ったときの楽しみの一つになった。
治療が終わる頃に季節は春になり、最高のツーリング日和だろう。
イメージするとわくわくが止まらない。
わくわくする自分にあの言葉を思い出した。
「こんな楽しみないで‼︎」なるほどそう言うことだったのか。
治療後の楽しみを作る。
これは闘病する者にとっての心の支えになるのだ。
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