今回の記事は治療後1年4ヶ月の経過観察とその結果の記録である。
オチだけ気になる人は以下からどうぞ。
出発
前回1年目の経過観察以来4ヶ月ぶりの受診である。
今回も行きは夜行バスで行った。
前日は泊まり込みで仕事だったので、疲れ果てていた私は乗り込むやいなや眠りについてしまった。
すっかり熟睡し、目が覚めた時には東京駅だった。
こちらはまたもや緊急事態宣言の発令中であるが、
昨年5月の宣言下とは比べ物にならないほど人出は多かった。
東京オリンピックまであと7日
私がスポーツに興味がないのもあるかもしれないが、
街も盛り上がっているようには見えない。
何だかこっちまで不安な気持ちになってくる。
私は宿題を終えぬまま夏休みが終わってしまう、そんな夜を思い出した。
電動キックボードに乗る
どこにも寄り道せず、
千葉のがん専門病院の最寄駅まで電車で移動した。
時刻は8時過ぎ、受診までまだまだ時間がある。
さぁどうしようかと駅を出ると、目の前に面白そうなものが飛び込んできた。
電動キックボード…
遠目に見ていると、お兄さんがスマホをかざして颯爽と乗り去って行った。
なに、借りれるのだろうか?
良く見ると公道での実証実験中らしく、無料でレンタルできるらしい。
乗りたい…‼︎
過去にバイクで事故を起こしたトラウマが蘇ってきたが、
今回は好奇心が勝った。
必要な手続きはスマホで済むらしい、
LINEで運転免許証の写真を撮りそれを送る。
(モノ的には小型特殊自動車であるので普通自動車の免許で乗れるが、このレンタル事業者は加えて普通二輪の免許も必要要件としていた)
朝方なので手続きに時間がかかるかと思っていたが、
10分ほどで乗車の許可が降りた。
あとは電動キックボードについているQRコードをスマホで読み込めば電源が入る。
エンジン音がするわけでもなくぱっと見は電源が入った事はわからなかったが、
良く見ると灯火類が光っている。
ざっと見渡せばわかるシンプルなものだったが、
一つ気になったのはウィンカーがない事だった。
警察の許可を得た実験のようなので当然問題はないのだろう。
気づかないだけでどこか光るのかななんて考えながら、
とりあえずウィンカーは使わず手旗信号で乗る事にした。
3カ月とはいえ住んでいた街なので道はわかる。
私は車通りの少ない道に出てそれを構えた。
普通のキックボードのように助走をつけて蹴り出したあと右手のアクセルを押す。
グワっと加速しスピードに乗った。
おぉすごい‼︎
そう思ったのは束の間、あっという間にリミッターがかかり15km/hをキープすることとなった。そりゃそうか。
◯
走り出したはいいがどこに行こうか…
怪しい乗り物は人々の視線を浴びながら車道の隅を走っていく。
隣を急足の男子高校生のママチャリが追い抜いていった。
15km/h…街の景色を眺めて行くには丁度良い。
そうだ、かねてから気になっていた史跡を見に行こう。
その場所は駅から2キロほど離れており、通院していた病院や住んでいたマンションとは異なる方向にあったため、住んでいた頃にはバスの車窓から眺めただけで近くで見れなかったことが心残りであったのだ。
◯
電動キックボードは実に良い仕事をしてくれた。
これほど小口径のホイールなのにサスペンションがあるからか地面のギャップはさほど気にならず、上り坂でも15km/hをキープしてくれた。
大通りなど走るのが怖い所では、降りてしまえばついて歩行者として歩けるのでフットワークも軽かった。
バイクというかはロードバイクの乗り味に近いと感じた。
そうしてあっという間に目的地にたどり着いた。
気になっていたのはこの史跡。
旧陸軍東部第百五部隊営門
奥には航空自衛隊柏送信所がある
元々この地域は陸軍の飛行場を中心とした軍郷であり、終戦後それらの跡地に大学や公園、研究所などが整備されたらしい。
柏といえばロケット戦闘機秋水の燃料庫も有名だ。
こういった史跡はいつまであるか分からないから、見れるうちに見ておきたいな。
◯
怪しい乗り物でそのまま移動し、
治療中住んでいたマンション付近を徘徊する。
徒歩で通院する際にいつも手を合わせていた小さな神社にも久々にお参りさせていただき現状のご報告を。
そうこうしている間に丁度良い時間となったので、
のらりくらりと駅に移動し電動キックボードを返しバスで病院へと向かった。
病院での検査と診察
病院では採血を済ませ、歯科受診までスムーズに。
その後頭頸部内科を受診し、担当医から採血の結果はそれほど問題なしということを伝えていただいた。
問題があるとすれば、甲状腺機能が少し低下していて基準値を下回っているようだ。
甲状腺というのは喉の前面に位置する器官であり、今回上咽頭癌の放射線治療でダメージを受けているためそれが原因のよう。
甲状腺ホルモンは一言で言えば「新陳代謝」に影響してくる。だるさや疲れは甲状腺機能低下症のわかりやすい例だ。最近の疲労感はもしやそれらも関係があるのかもしれない。
先生曰く治療後1〜2年内に頻発する晩発的影響(数ヶ月以降に起こる放射線障害をこのように言う)の一つが出てきたのかもしれないと言うことだった。
ここの所、喉や腰など痛いところがたくさんあって心配だったが、
ひとまず採血の結果は問題なかったようで一安心。
いつも通りスムーズに診察を終わろうかと言う時
私は現在心療内科にかかっていることを伝え「精神腫瘍科」の受診をお願いした。
先生は快く他科紹介への段取りをしてくれたが、次の検診に合わせ4ヶ月先になってしまった。遠方からそう何度も来れないのでコレばかりは仕方がない。
◯
造影MRI、今回も爆睡した。
造影CT、検査自体はスムーズに行ったのだが、検査後右手に発赤のようなものが出ている事に看護師さんが気づいてくれた。
「造影剤の副作用かもしれませんね、気分はどうですか?」
「いえ特には…これはただの日焼けではないでしょうか」
「いえ、明らかに赤いですよ」
確かに左右差があり発赤していたのだが、私としては今朝半袖で炎天下の中電動キックボードに乗ったことが原因な気がしていた。
とはいえ、何度も行っている人でも造影剤で副作用が出ることはごく稀にあるので可能性としては捨てきれない。
少し観察を行なったのち、問題がなさそうだと言うことで検査終了となった。
その後放射線治療科でファイバーで喉の奥も診ていただいたて問題ないとの事だった。
これで少し安心。
◯
全ての診察、検査を終えて前回同様病院で食事とした。
今回は売店で牛丼を買ってそれを食べた。
入院中はいつも夕方半額になったものばかり食べていたので、昼間に様々な種類の中から選べるのは嬉しかった。
街の散策
食事を取ったあと、病院を後にし柏駅に向かう。
良く通ったビックカメラでカメラ用品を買って、
その後駅ビルの中で宝くじを買った。
私は普段ギャンブルはやらないのだが、経過観察にきたときは宝くじを買うようにしている。稀な癌にあたったのだからきっと宝くじも当たるはずだと思うからだ。
サマージャンボは当たればいくらだろう?何億とは言わないから6千万円ほど欲しいな。そうすれば働かずに暮らせるのだが。
◯
その後、バスで郊外のアウトドアショップに移動する。
過去にも紹介したアルペンアウトドアーズ柏店。
全国に4箇所しかない旗艦店で、かなり見応えがある。
平日夜と言うこともあり、思惑通り人は少なく安心してショッピング出来た。
アウトドア好きな人は是非ともオススメしたいスポット。
(休日は混雑するので注意)
◯
閉店間際までショッピングしたあと、
都内のホテルへ移動し持ち込んだ弁当と酒を飲んで寝た。
◯
翌日はどこにもよらず新幹線で帰路についた。
本来であればこちらの友人と横浜を散策しようと言う話であったが、まん延防止等重点措置の発令に伴い泣く泣く延期とした。
帰りの新幹線では同い年くらいの女性が隣だったのだが、
終始マスクを着けていなかったので嫌な気分だった。
(何か理由があったにしろ隣にいる私としては不安だったと言うのが本音)
早くサマージャンボ当たって、プライベートジェットで移動できるようになりたいな。
今回の旅の間、KEENのユニークと言うサンダルを履いていたのだが
スニーカーのようにホールド感がよいく、見た目も良く蒸れないので非常に快適だった。
夏の相棒はコレで決まりだ。
[キーン] サンダル UNEEK(現行モデル) ユニーク メンズ BLACK/BLACK 26.5 cm
そのまま無事田舎に帰り旅は終わった。
経過観察の結果
時は流れ翌週、
いつも通り電話で主治医から造影CT、MRIの検査結果を伝えていただいた。
検査の結果“再発はなし”
コレでまた4ヶ月間生きられる。
周りの人は私がすっかり調子が良いように見えるかもしれないが、
耳鳴りは続き気分も上がらず、あちこち体の痛みがある。
ずっと再発の不安に怯えていて、またしばらくの間だけ安心して過ごせる。
何か悪いことをしたわけでもないのに
生きさせていただいてるような、生きて良いと赦しを得たような、そんな後ろめたさをずっと感じている。
今回のお赦しを受けて、一つ大きな買い物をしようと決心していた。
まだ段取りをしている段階で、報告できるのはまだ先になるかとは思うが、手に入ったらまた記事にしようと思う。
お決まりの通り冷凍してあった半額のステーキを焼いて食べた。
肉を食べればいつでも元気になる‼︎
それではまた。
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