24歳でがんになった。~Return Match~

24歳にして突然の上咽頭癌ステージ4の宣告。その時私は〝がん患者〟になった。

時よ止まれ。精子凍結保存

私は今後、精子凍結保存を受ける世の男性諸君の為にこの記事を書かねばならない。

 

こういう誰も言わない事こそ、記録として残さねばならないだろう。私にとっても少し恥ずかしさはあるが、断固として目をつぶらぬ所存である。しかし、些か見るに耐えない。

残さなくていい気持もしてきたが、「そんな感じなのか」程度にでも知って貰えれば、私が今ここで辱めを受ける意味もあるだろう。(と言うかあって欲しいものだ)

 

女学生の嬉し恥ずかしな初体験の告白ならば、おっさん達に一定の需要があるかと思うが、これからここに記されるのはこの世に生を受け四半世紀になろうとする男が、病院の一室でマスターベーションをしてきた記録である。

 

地上の星

地上の星

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2019/11/2、

私は東京のとある大学病院にいた。

その病院は東京タワーの近くだった。

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先日の記事に記した通り、抗がん剤放射線治療を行うにあたり、無精子にリスクがあるので予めここで精子を凍結保存しておく事となったからだ。

精子凍結保存についてはこちらがわかりやすい(pdf)

http://www2.dokkyomed.ac.jp/dep-k/repro/_userdata/pamphadd.pdf

 

待っていると男性不妊外来の先生に診察室へと呼ばれる。

「24歳ですか、若いですねぇ。」最近よくその台詞を言われる。

「この治療ですと、永久的な不妊になる確率は半々くらいですね。凍結保存の選択は良いと思います。」淡々と話は進み、それから先生は同意を得るべく要点をいくつか説明してくれた。

 

一つ目は自由診療のため費用がかかると言う事。

採取に一回6万円。今後の凍結保存は年5万円。解凍し使用する場合は一回100万円、それも解凍して使用しても一回で子供が出来るかはわからない。

(これは施設によりかなり価格の幅ある様なので、あくまで参考に。)

 

二つ目は本邦では今の所、(論理的に)死後生殖は行えないと言う事。

法的には問題がないと言うよりかは、法整備が間に合っていない様だ。

個人的にわかりやすいと思った考察↓(pdf)

http://cbel.jp/images/topics/topic200609.pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jabedit/16/1/16_KJ00005000718/_pdf

 

まぁ私が死んでも誰もそれは望まないので特に問題はないのだが、世界的に議論の対象になっている様で興味深いテーマである。

 

確かに、配偶者がいて死別した場合、そう思う気持ちもわかる。

個人のブログで、闘病中の旦那さんの凍結精子を使った妊活を記した物があった。何回かチャレンジするも失敗し、奥さんの焦りや葛藤が詳細に読み取れる様なブログだったのだが、ある日「妊活終了しました。」と言うタイトル、読めば旦那さんが亡くなった為中止せざるを得なくなったと…個人の心境を考えればなんともいたたまれない記事だった。

 

話がそれて申し訳ない。

説明を終えると、先生は「とりあえず、出しとく?」と言って滅菌されたケースを手渡した。ノリが軽いが嫌いじゃない。このケースに精液を入れてきたら良いという訳だ。

 

案内されて通された個室、三畳ほどの小さな空間。洗面所とソファが一つあった。

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誰かに一生物の心の傷を追わせたくないし、私も追いたくないので鍵をガチャリと閉めて指刺し、ヨシっと心の中で声を出して確認した。

 

ちなみに猥褻図書の類は何も用意されていないので注意されたい。

 

その部屋に入ってから採取に至るまでの過程は、語るに値しない為ここに記す事は差し控えたい。読者も知りたくは無いだろう。

 

とにかく私は、あの時、あの場所で〝父〟になったのだ…

 

採取が終わるとそのケースは、個室から持ち出さなくとも小窓から提出出来る様になっていた。そこから、その精液が今後使えるものかどうか、つまり妊娠させる能力があるかどうかの検査が行われるとの事だった。

 

30分ほどして先ほどの診察室に招かれる。

精子の量、活動率、問題無いですね。いやぁ、やっぱり若い‼︎」

男性不妊外来にくる方は当然、精子に問題がある方が多い様で褒めていただいた。

まぁ褒められたのは私でなく精子なのだが。

 

「一回で採取終われますねぇ。一週間後に治療開始だと2回目出来るか微妙でしたからね。」スムーズに終わった事で、先生は機嫌が良さそうにも見えた。

「すぐには回復しないんですよ。必要であれば精巣を手術して精子を取り出したりって手も…色々大変なんですよ。いやぁ良かった。それに、土曜日は気まぐれに月一回開けるだけなんです(笑)」

どうも、治療を遅らせたくなければ今日一回きりのチャンスだった様だ。

私はなんやかんや運がいいなぁと思った。My sunもよくやった。よしよし。

 

「年一回の更新だけは、忘れずに来てくださいね‼︎」

先生に私の希望を託し、病院を後にした。

 

昼は月島でもんじゃ食べた。

これは美味い。東京の方は関西のたこ焼きみたいに家で作ったりするんだろうか。

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夜、久々に同僚とビデオ電話をした。

頼んでおいた仕事の進捗具合を聞いてこんななった。

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おかげで早く帰らねばならんなぁと思った。

 

 

 

 

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