11/6、造影MRI検査を受けた。
頭頸部の癌の場合、この検査は避けては通れぬ道であろう。
MRIは放射線科で扱う他の多くの検査と異なり、被曝がないので仕事をしてた頃には何度も実験台として入った。この検査は撮影時間が長い為、私はいつも中に入ったらぐっすり寝ていた。
しかし、今日は実験台ではない。
頭部への浸潤がないかを見る重要な〝検査〟であるのだ。緊張でとても寝れないだろう。
ルートを予め確保していただき、金属チェックを終えてMRI室の中に入る。
耳栓をつけた後寝台の上に寝転がり、お面のような物を(厳密には一式含めヘッドコイル)つけてMRIの筒の中へ入る。
ガンガンガン…と音が響き、撮影が始まる。MRIの音はかなりうるさい。音で何を撮影しているか予想を立てる。
サーベイ、DWI…そんなことを考えていたら…
寝た。
撮影開始5分で寝た。
「終わりましたよ〜」と技師さんがいいながら、寝台が動き筒の外へ体が運ばれる。
「あれ?造影はせんのですか?」と聞くと、「やりましたよ〜」と言った。
ルートを取っていたとはいえ、造影剤を流し込まれても爆睡していたとは。(MRIの造影材はCTのものと違って入っても熱く感じたりの違和感はない。)
心が図太すぎて、癌も何やこいつとさぞびっくりしたと思う。
続けて2019/11/7、上部消化管検査を受けた。
上咽頭癌は喉の病気の為、喉と繋がっている食道や胃に転移している可能性がある為だ。(割合としては20%の人に転移があるらしい)
遠隔転移の検査はPETでしたのだが、PETの場合消化管は正常集積があるので見落とす可能性がある為それを補う必要がある。
その日、検査室に通されて驚いた。
消化管内視鏡科というのが独立してあるくらいで、その病院には内視鏡検査室が10部屋くらいあったような気がする。
専門病院というのは本当に凄い。
担当の医師、看護師さんと挨拶を済ませると、ベッドに横向きに寝転がるように指示を受ける。
注射してルートを採ってもらった後、看護師さんは「何本入れますか」と言った。医師は手元に目をやったまま「全部」と一言答えた。
「…りましたよ…」
「終わりましたよ。」
気がつくと検査は全部終わっていて、看護師さんに起こされた。どうやらコトンと寝てしまったようで、痛いも何も寝てる間に終わってしまった。
「全部」は流石に凄かった。
眠りの小五郎より、確実に早かった。
こうして、最終的なステージ決定に必要な検査は爆睡してる間に全部終わった。
検査の後、麻酔で感覚も鈍いままに菓子パンをもぐもぐと食べていると、担当医に診察室に呼ばれた。
「検査お疲れさまでした。とりあえず食道の方への転移はなさそうです。」ひとまずホッとしたのもつかぬ間、先生は先日の造影MRIの画像をモニタに表示して「みてもらった方がいいですね」と言った。
造影CTでは骨に重なりわからなかったが、造影MRIでは上咽頭癌は、脳底部、つまり脳の中にまで広がっている事がわかった。(上咽頭は頭蓋底、脳神経に接する為ここへの浸潤も頸部リンパ節同様多い。)
先生が舌や眼球を左右に動かす動作をやって見せるように指示をしたので、そのようにする。「おかしいですね、痛みや痺れはないんですか?」と聞く。
全くないのでありませんと答えたが、そう聞く理由は画像上は脳神経まで癌が浸潤している(ように見えるくらい接している)からだった。なんだそれ怖いじゃないか。
「頭蓋内浸潤ありで、ステージは4になります。」癌があるかないかというのは重要な問題だが、この際治る癌ならステージが何でも大した問題ではない。
しかし、ステージ4というのはインパクトがあって中々かっこいい。一瞬、まずい状況なんじゃないかとも思ったが、ギリギリ感がたまんねぇゼ。
「前回お話した通り、ステージ3以上なので4ヶ月のパターンで行きましょう。」
2ヶ月の治療ならばひょっとして年内に帰れるんじゃないかと思っていたので、治療が長くかかるというのはちょっと嫌だった。
こうして最終的なステージ、治療方針が決まった。
いよいよ次から治療が始まる。治療が始まると一体どうなるのか。
とりあえずまずハゲると告知されたので、髪を丸めに行こうと思った私だった。
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