24歳でがんになった。~Return Match~

24歳にして突然の上咽頭癌ステージ4の宣告。その時私は〝がん患者〟になった。

20代の片付け〜不純異性交遊〜

秋の夜長、アラサーのオレはミナミのクラブで舞っていた。

興奮冷めやまぬ深夜4時、私はネカフェでシャワーを浴びてこの記事を書いている。

 

20代の前半、

長らく付き合った恋人と別れた後

私はずっと恋人を作らなかった。作れなかった。

 

「いつかあの人とやり直したい」

そう思って勉強し転職し、仕事終わりにはジムで汗を流した。ジムが終われば資格試験のために夜中まで勉強した。

元カノが私を置いて出た都会にも出れるようになり少しずつ〝理想の自分〟に近づいていった。

そうこうしてる間に時は流れ、24歳になった。

 

その間、一切何もなかったのかといえばそうではない。

私を好いてくれる奇妙な女性たちもいて、

「僕は付き合うつもりはない」と言っても

それでも近くにいてくれた。

きちんと付き合えなかったのは私の片隅にはずっと元カノがいたからだ。

 

もう元カノに会っても良いかもしれない、

今の自分は胸を張って会えるだろう。

でもまだもう少し、もう少し、そう思ってる間に私はがんになった。

 

そのことがきっかけでやっと元カノに会った。

「会いたい」

その一言を言うために数年がすぎていた。

 

数年ぶりに会う彼女は変わらず良い人であったが、

素直な感想は「普通」であった。

色々な人と会う中で自分の女性へのハードルは高くなり、あれほど想っていた人さえ特別で無くなっていた。

 

寝る暇を惜しみ、勉学に励みトレーニングし、

その結果残されたのはステージ4の体と

誰とも付き合わない男であった。

 

癌治療の半年間、

頭は丸まり肌は荒れ、お腹にはPEGがささって

それは痛々しい体になった。

 

客観的に見て

「良い男ではない」自分になったのが辛かった。

 

治療の後、一年ほどで髪は伸び肌の調子もよくなり普通の体に戻った。

治療中に覚えた化粧は〝シャバ〟に出た後も役にたった。

そうして僕は知り合った女性たちとも遊べるようになった。

 

自分の失った時間を取り戻したくて、

たくさん遊んだ。

 

私を好いてくれる人もいたが、

私は自分が不毛に過ごした時間を埋めようと

変わらず不埒な事を続けた。

 

そんな中で

遊んでいる女性たちからクラブや相席屋の存在を知った。

聞けば、世間の人たちは20代前半のうちにそういう遊びを経験するらしい。

 

「行ったことが無いんだよね」

そりゃ、20代前半のうちは1人の人を愛して、

そういう遊びは「不真面目」であることを理解し、「真面目」に生きてきたから。

 

自分の真面目に生きてきた時間の中で、

「不真面目」な事をしてきた人が羨ましいと思った。

 

そんな自分でも、

好きな人が出来てもうやめようと思った。

 

もう十分に遊んだし、満足していた。

ただやり残したことといえば、

相席屋とクラブであった。

 

私の唯一無二の親友であるしろくんをすがって連絡した。

 

彼は長い間都会に住んでいて、

そういう都会の遊びにも詳しい。

(彼自身は真面目な男であり、付き合いの中で学んだだけであるので誤解なきよう)

 

「そんな楽しい所ちゃうで」

でも、彼は何も言わずとも私の心を汲み取ってくれたようで二つ返事で「行こか」と言ってくれた。

 

その日、

10/31のハロウィンの心斎橋に私たちはいた。

「見るからに治安悪いよ〜大丈夫?」

 

若者たちの熱気に推される私を置いて彼は何の気なしに進んでいく。

「今日はガキがいっぱいだな‼︎」

今日ほどこの男が頼もしく見えたことはなかった。

 

 

「ここが相席屋

なるほど。これが相席屋

 

彼がさっとチェックインを済ませて、

私達は席に着いた。

 

程なくして若い女性のグループが招かれて

私たちは場の盛り上がりもあって3時間ほど会話した。

「お会計3万円です。」

はい、喋りすぎ。学びました。

 

彼女たちと一緒に相席屋を一緒に出た。

 

そのうちの1人の女性が

私を気に入ってくれてこれはもうそういう流れであったのだが…

 

「今日はごめん!」

私はこの後クラブに行かねばならぬ。

もう一つの目標を達さぬままこの街をさることは出来なかった。

 

女性たちと別れ、

私たちは間にバーを挟んだ。

これはしろくんの趣味であり

「大人の時間」を私達は楽しんだ。

 

深夜、終電が近づいてきたころ

彼は帰宅を提案した。

「今日ハロウィンだからクラブ入れないと思うよ」

 

しかし、しかし私はここで折れなかった。

これは私の片付けなのだ!

 

全然乗り気じゃ無い彼を引っ張って

クラブの前まで連れてった。

 

ハロウィンのクラブの人は凄まじく、

これは入れないし入っても危ないなと私もわかった。

見てみて納得した私はここでやっと諦めて、

その後は朝までASOBIBAという軽めの相席屋で時間を潰した。

 

始発の時間になって、

やりたい事を一通りやって浮かれている私を横目に、しろくんはずっと眠たいよ〜と言っていた。

「しろ、ありがとう。ありがとう」

俺はバンと彼の背中を叩いた。

 

その日の晩(朝)は

彼の家で横になって昼過ぎまで寝た。

 

その後昼過ぎに起きて寝巻きのまま二人で出前のラーメンを二人で食べて、

こんな何気ないことが懐かしくてすごく嬉しかった。

 

仕事に行く彼を見送って、

私は懲りずにクラブに再チャレンジした。

 

昨日前まで連れてきてもらったから、

1人でも行ける気がした。

 

先輩達に教えてもらった通り、身分証を出せばすっと入れた。

 

ここがクラブ…

私の好きなヒップホップが流れている。

遊び方なんて知らないけど、

1人で酒飲んでタバコを吸っていると若い男の子が声をかけてくれた。

「ひとりですか!?」

聞けば、彼も友達にすっぽかされて1人できたのだそう。

 

彼は振り付けがうまくて、

DJブースの1番前に行こうと言い出した。

酒の助けもあって、俺も前に出て彼の隣でくねくね

と舞ってみた。

 

何だかよくわからないけど、

人が集まって一緒に騒いだ。

 

振り付けとかよくわからないけど、

自分の主題歌とも言われてる「ピタカゲ」をあの場で熱唱できてオレはもう思い残すことはなかった。


www.youtube.com

 

深夜3時、彼は知り合った女性とクラブを出ると言って消えていった。

 

彼のおかげで楽しい時間を過ごせた。

潮時だな…

飲み放題の安い酒をもう一杯のんで、

最後のタバコを吸って外に出た。

 

深夜の街。

さっきまでの喧騒が嘘のように静かな街だった。

 

そして、始発までの時間を潰すべく

私はネットカフェになだれこんだ。

 

何か得たものがあったのか、

それは知らなくて良いことだったのかはわからないが、

私はやってみたかった事をやれて満足した。

 

やっと、20代の片付けが終わったんだ。

 

今は「普通な人と普通に恋愛したい」と思っている。

 

いつか皆に恋人ができたと胸を張って報告できる日は来るのだろうか?

それは自分次第だね。

 

それでは今日はこの辺で。

 

自分が教科書と崇めていた恋愛の本。

ドラマもやっていた。

 

 

 

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