24歳でがんになった。~Return Match~

24歳にして突然の上咽頭癌ステージ4の宣告。その時私は〝がん患者〟になった。

医療従事者によるステージ、TNM分類の解説。

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」

私の好きな故事である。

 

これを今闘病している私に当てはまれば

彼という敵は〝癌〟である。

 

敵がいるという事はわかった時に、

我々がん患者自身が敵の状態を知るにはどうしたらいいか。

 

敵の勢力は大きいのか、どれほど広く攻めているのか、

それを知るのがステージ(病期)分類である。

  

今回は医療従事者の私が〝ステージ〟について解説したいと思う。

 

◯ステージ(病期)分類について

先に挙げたように今のがんの状態を知る指標がステージである。
ステージは細胞診やCT、MRIといった画像検査などを踏まえて決定される。
患者自身、周りの人々にとってそれを知ることは怖いとは思うが、
ステージをを知る事でがんの大きさ、遠くへの広がりのわかりやすい目安となる。
ステージが決まれば治療、予後についての見通しが立つ為これを直視し知る事は大切である。
 
 

◯TNM分類について

ステージ(病期)を分類するにあたり、

個々の医師が「う〜ん、コレは軽いからステージ1、こっちは4‼︎」と診断していれば恐ろしい話である。ステージが変われば治療方針も変わるのだから。

 

 こう言ったことが起こらないように、国際対がん連合(UICC)のTNM分類という物に基づいてステージは決まる。
(我が国独自の癌取り扱い規約分類や、臨床進行度という分類もあるが、今回はメジャーなTNM分類についてのみ解説する。)
 
TNM分類はT分類が「がんの広がり」N分類が「所属リンパ節に転移したがんの大きさと個数」M分類が「遠隔転移の有無」という分類である。
 
今回は私の罹患した上咽頭癌のTNM分類からステージを判別してみたいと思う。
他の癌でもTNM分類に従えば読み方は同じである。 

 

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まずT分類、私の場合癌が頭蓋内に浸潤している事が造影MRIでわかったのでT4、両側所属リンパ節への転移があり、最大経6cm以下というのが造影CTでわかったのでN2、PETで遠隔転移なしというのがわかったのでM0

 

つまりTNM分類では私の癌はT4N2M0と示される。

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TNM分類がわかったところでやっとステージ(病期)分類である。

この表も上咽頭癌のものなので他の癌の場合は合った物を使用する必要があるので注意が必要だ。

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この表からT4N2M0を読み取る。

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T4、N2 …M0という項目はないが、M1ではないという意味である。仮にM1である場合は問答無用でステージ4Bというステージになる。

という事で私のがんはステージ4のA(遠隔転移なし)である事がわかった。

 

以上がステージの決定方法である。

ちなみに、ステージとは異なるが早期がん、進行がん、末期がんといった分類については医学的には早期がん、進行がんのみの分類であり、時間的な尺度であるため癌によってその取り扱いは大きく異なるが、上咽頭癌の場合はステージ1、2を早期がん、ステージ3、4を進行がんというようだ。

 

また、末期がんという言葉は医学的には通常取り扱われる事はないが、慣用的に余命を告げられた状態や、根治的治療法がない場合を末期がんというようである。

つまり病気として一番悪性度の高いステージ4の癌でも治療法があって余命を告げられない場合は進行癌ではあるが末期がんではないという事である。

(末期がんという慣用的な言葉の意味については、恥ずかしながら私も自身が癌患者になって知った。)

 

◯ステージが決まれば治療法が決まる。

先にステージが決まれば治療法、予後がわかると書いた。

ガイドラインを見れば治療法がわかる。

 

ガイドラインの得方については前に記事にしたのでこちらから。

 

咽頭癌の取り扱いのある頭頸部癌ガイドラインから引用。

ガイドラインこちらから。

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ステージ4Aで導入化学+化学放射線治療を行っているのでガイドライン通り。

※実際はステージだけでなく患者の状態、年齢、性別など様々な因子を考慮して治療方針を決定する。

 

◯ステージがわかれば予後がわかる。

これは…あまり直視したくないけど私は理系なので現実が好き。直視あるのみ。

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という訳で私のステージ4という状態の5年生存率は52%です…

 

いやいや元気出そう、黙って死ねるか。

理系として屁理屈をこねなければならなぬ。

 

という訳でこの5年生存率というものについて言い訳。

例えばステージ4の中にも遠隔転移の有無という違いがあるし、何かしら持病が合って標準治療を行っていない可能性もある。20代の私とよぼよぼのお年寄りでは治療が始まる時点での健康状態が違う。

また、上咽頭癌のような希少癌の場合は分母となる数が少ないため患者間の個体差によるばらつきは大きいと思われる。

 

この5年生存率を知れば予後の参考になるかも知れないが、あくまで参考である。

私も初めて見た時は正直ショックを受けたが、がんの予後は人によるところが大きいので「自分は大丈夫‼︎」という気持ちが大切だと思う。

 

という訳でステージ、TNM分類とは何かについてでした。

間違い等あればお気軽にコメントください。

 

参考文献、画像の許可引用先は国立がん研究センター様より。

がんの病期のことを知る

上咽頭がん

 

 

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