がん治療をきっかけに、タバコをやめて1年と半年が経つ。
今回は禁煙するに至ったストーリーと、自分なりの工夫を記そうと思う。
◯
癌がわかる前、私は1日10本ほどタバコを吸っていた。
癌がわかったその日、
少しでも命を大切にせねばと禁煙を決意しiQOSを病院のゴミ箱に捨てたが、
その帰り道に紙巻きタバコを買っていた。
「癌なんてどうすりゃええねん‼︎」
「とりあえず一服…」ってなもんだ。
冷静に考えてみると、タバコを吸いながら数年単位で育てた癌なのに、
数日禁煙したところで焼け石に水だ。
そんな言い訳を自分にしながら、
癌が見つかったという途方もないストレスを煙に巻いて出すしかなかった。
というわけで、癌がわかった後も暫くはタバコを吸っていた。
治療前の検査の段階では
「タバコはやめなきゃいけませんね〜」と優しく言っていた主治医の先生であるが、
治療の前日に
「抗がん剤治療中にタバコを吸うと肺炎で死にます。だからタバコを吸うというのであれば私は診れません。診ません」と言われてしまった。
こうなれば私も年貢の納め時
やめますと答えるしかなかった。
その日の晩、地元の友人と電話で話しながら吸ったタバコが最後の一本になった。
「そっちも月がでとるんか」
遠く離れたところで同じ月を見ながら一緒にタバコを吸った。
タバコは私にたくさんのドラマを与えてくれた。
「これで最後や」
残りのタバコをへし折って、私は灰皿に捨てた。
◯
通院で抗がん剤治療が始まった、
今日からタバコを吸うと死ぬらしい。
最初の治療は通院で行ったため、週一回の通院以外は普通に町で過ごしていた。
コンビニに行ってもスーパーに行ってもタバコが目に付く。
〝タバコが吸いたい〟
買ってやろうか?吸ってしまおうか?
何度も思ったが、先生の言葉を思い出しなんとかこらえる。
違法薬物に手を出して、何度も刑務所に送られるミュージシャンをバカじゃねえのかと思っていたが、
自分がこうなって気持ちがよくわかった。
生きるか死ぬかという状況になっても、私はタバコが吸いたかったのだから。
◯
最初の1ヶ月は特に厳しかった。
なぜタバコが吸いたくなるのかと考えてみると、
自分の中に「タバコを吸いたくなるスイッチ」がたくさんある事に気づく。
例えば、
朝起きた=タバコを吸う
コーヒーを飲む=タバコを吸う
イライラした=タバコを吸う
こういった具合だ。
とにかくこれらのイコールを壊さねばならないと考えた。
朝起きた=歯磨きをする
コーヒーを紅茶に変える
イライラする=お菓子を食べる
自分の中のスイッチをどんどん変えて行った。
禁煙して3ヶ月も経つと
タバコを吸わなければ沢山のメリットがある事を実感し、吸いたいとも思わなくなった。
◯
あれから1年以上経つ。
スイッチを入れ替えるという作業のおかげで、
私は仕事でストレスが溜まっても酒を飲んでもタバコなしで乗り越えられるようになった。
一瞬“タバコ”というモノがよぎることはあるが、
沢山の逃げ道を用意してあるから大丈夫だ。
逃げ道としては定番であるが
甘いものを利用している。
お菓子やケーキはもちろん、最近ハマっているのはコーラだ。
大戦中は軍需物資として米軍兵士に愛されていたようであるが、
自分も汗を流すようになってその美味さがわかった。
今はスカッとしたい気分の時は、
タバコに火をつけるのではなく
コカコーラの瓶を開ける。
大量の砂糖が入ったドリンクが健康的だとは自分も思ってはいないが、
タバコの代わりだと思えば何てことはないだろう。
仕事中でも自販機に行けば買えるし飲めるのも有り難い。
しかし、甘いものを食べてもどうしてもどうしてもタバコが吸いたくなる時もある。
例えば喫煙者と酒を飲んだりしている時などだ。
いい気分の中、ぷかぷかとタバコをふかされるとこっちも吸いたくなる。
そんなとき「一本ちょうだい」と言いたくなるのはわかっている、
自分はそういう人間なのだ。
だからあらかじめ逃げ道を用意しておく。
私が常備しているのは
メンソール味の電子タバコ
「タバコじゃねーか‼︎」とお叱りの声も飛んできそうだが、出てくるのは味のついた水蒸気であり法的にはタバコではない。
(体に良いか悪いかは知らないが…)
1ヶ月のうち、片手で数えれるほどではあるが
気分によってこういった電子タバコをふしてみることもある。
タバコを吸っていたことろは
こう言った電子タバコは重みがなく全く吸いごたえがなかったが、
非喫煙者になるとこれでも結構いけるのである。
個人的にはファミリーマートで売っているこの使い捨て電子タバコの強メンソールがおすすめ。
スカッとするので吸いごたえがある。
◯
私の場合は短時間のうちにタバコをやめたが、
計画を立ててタバコをやめれるとしたらどうするだろうか。
自分の経験を元にプランを立ててみた。
まず前提として一番大切なのは「禁煙する意思」である。
私の場合は「吸ったら死ぬ」という気持ちがあったのでやめることができた。
禁煙しようという意思が本人になければ、
絶対に止めることはできないので気持ちよく吸わせておいた方がマシだ。
この記事を見て「アンタもタバコやめなさいよ」と見せつけるのはよして欲しい。
相手を不機嫌にして終わりだ。
タバコを止めるには結局は本人の意思しかない。
◯
意思が固まったとして話を進めよう。
いきなりタバコを止めるのは難しいとして、
まずは節煙から始めてみよう。
単純に本数を減らしてみたり
タールの軽いタバコにだんだんシフトしていくと良いと思う。
その次は加熱式タバコに変えよう。
iQOSやプルーム・テックなど、コンビニでも多くの加熱式タバコが売られている。
最初は吸いなれないかも知れないが、これにシフトすることで〝火を付ける〟という習慣を一つ捨てられる。
暫くして加熱式タバコになれたら、中身を本物のタバコから茶葉のタバコに変えよう。
いきなり変えるとニコチン切れになるので、本数を調整していくのが良いと思う。
実際自分は吸ったことがないが、同じiQOSでこれにシフトしていけば違和感は少ないと思う。
暫く続けてこれオンリーに移行できれば、知らないうちにタバコをやめれているというわけだ
(上記は法的にはタバコでない)
ニコチン断ちできればイライラも治るだろうし、
そのうち決心がつけば茶葉のタバコもやめれるだろう。
タバコを止めると代わりの〝依存するもの〟が必要になると思うので、
私のようにお菓子やジュースに依存するとよいと思う。
砂糖はニコチンのように依存性の高い物質で、ストレスを発散してくれる。
それは健康にあまり良くはないかも知れないが、タバコの害と比べればマシだろう。
◯
20歳の僕にメッセージを送れるとする
「君は癌になるよ」
屁理屈な私は言い返すだろう
「そんなもの、吸っていても吸わなくてもほとんどの人がなるだろ。ストレスとタバコを天秤に…」
でもこういえばどうだろう
「君は24歳で癌になるよ。上咽頭がんでタバコは一つの引き金になるよ」
…いじっぱりな私もタバコを捨てて足で踏み躙るだろう。
〝中毒者〟だったからわかる
「でも、付き合いが」「だってストレスが」
禁煙に挫けた後タバコを吸ったあとで
そういう後付けの理由がいくらでも浮かんでくる、そう簡単にタバコはやめられない。
私は「タバコを止めると良いですよ」なんて面と向かって喫煙者には言わない。
そんな話をしても喫煙者に届かないのはわかっているから。
でも自分がやめてよかったと思ったから、
やめようという気持ちの人の手助けになれればいいなと思って記事にした。
もしタバコを吸っている人がいたら、禁煙にチャレンジしてみて欲しいな。
それではまた。
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