24歳でがんになった。~Return Match~

24歳にして突然の上咽頭癌ステージ4の宣告。その時私は〝がん患者〟になった。

PET検査

目が覚める。喉が痛い…昨日のカラオケのせいだと言い聞かせる。

今日はPET検査があるので検査終了まで絶食だ。

庭に出てコーヒーを飲みながら煙草を吹かし、陽が上り始めた空を眺めていた。

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腹が減った、腹が減るのも生きている事を実感する。

何度も見たはずの朝日が染みるほど綺麗で、足元の花を美しいと思った。

しょうもないと思っていた事一つ一つに感動できるのは癌のおかげだなぁなんて思ったりした。

 

家族とひとまずの別れを告げ、地元を離れ100キロほど離れた寮へ電車で向かう。

更に寮から1時間ほど車を運転しその日検査を行う病院へ向かった。

 

高速道路のSA、平日なのに私はぽけーっと煙草をふかしている。

天気がよくて絶好のドライブ日和だ。目的地が病院である事以外は。

 

余裕を持って病院につく。

検査案内の時に事務員に自費でCDを一枚持ち帰りたいと伝えた。

何の為ですかと聞かれたので「自分で画像を見たいからです。」と答える。

それからもくどくど郵送するからとかどうとか説明される。例外はそんなに面倒か?

放射線技師なので画像は見れます。自費で一枚持ち帰らせてください。」

名乗りたくは無かったがおかげで話はスムーズに進み、CDを用意してもらえる事になった。

 

PET検査の詳細、検査の流れについては以下のサイトがわかりやすい。

https://www.nmp.co.jp/public/pet/index.html

せっかくなので私の言葉で簡単に説明すると、がん細胞はブドウ糖をエネルギーにするのでブドウ糖放射性物質をくっつけてそれを食べさせてやる。それを画像にすると言った感じ。原理としてはわかりやすい検査。

画像としては広くざっくりとがんの有無を調べられるといった感じで、主に自費で行うがん検診や遠隔転移の有無の検査が多いと思う。(がん以外の検査も出来るが、この話はまた機会があれば。)

 

自分も〝検査する側〟で行っていた検査なので流れは解っていた。

おかげでさして緊張する事もなく検査は終了した。

少し時間のかかる検査だが、時間がかかるだけでそれほど辛くはない検査だった。

 

検査後しばらくして検査画像の入ったCDをもらって帰路につく。

このCDの画像に自分のこれからを左右するデータが入っている…

正直癌がある時点で戦うしかないのだが、メタ(遠隔転移)がある状態になると話は別だ。

うーん知りたくない…でも知りたい…そんな事を考えているとあっと言う間に家の近くに着いてしまった。

 

その日は同期と夕飯に行く約束をしていた。

待ち合わせをして車で乗り合わせ、近くのガストに行った。

朝から何も食べていないので私のお腹はペコペコだ。

ガストといえばこれ、チーズインハンバーグを注文した。

 

チーズインハンバーグには苦い思い出がある。

 

学生時代、ガストに面接に行った時のことだ。

「なぜガストで働きたいと思ったのか」と店長はありきたりな質問をした。

僕は「高校時代よく行き楽しい時間を過ごしました。僕も提供する側になりたいと思いました。」と答えた。

店長は「ふーん」と興味なさそうに行った後、「じゃあ好きなメニューある?」と聞いてきた。

僕は「チーズが上に乗ってる粗挽きハンバーグ」と答えた。

店長は少し考えた後「それ…ココスじゃない⁉︎」と失礼な事を行ってきた。

しかしよくよく思い出すと通っていたファミレスはオレンジの看板だった。

「すいません…よく行ってたのはココスでした。」と僕は気まずそうに答えた。

 

結局なぜか採用になり暑い日も寒い日も原付でハンバーグをお届けした。

バイクに乗るのが好きだったので天職だった。

ジャイロキャノピーでドリフトできるようになった頃、

バイト先の女子高生とわやくちゃになり退職を余儀なくされた。

 

あばよ俺の青春。あばよジャイロキャノピー

 

話がそれすぎた。申し訳ない。

そんな思い出に浸りながら、しょうもないチーズインハンバーグとドリンクバーで同僚としゃべくり家に帰った。

 

散々話し気が紛れたが、家に帰るとするべき事があった。

今日の検査結果の入ったCDを手に取る…見たくないがこの目で見るしかない。

昔上司に言われた「あるものはある、ないものはない。」と言う言葉を思い出していた。

 

CDをコンピュータにいれる。

ウィーンと音が響く…ソフトが立ち上がるまでの時間がいつものより長く感じる。

パッとソフトが立ちあがり画像が出てくる。

落ち着け、落ち着けと自分をなだめる。

 

急ぎ足で画像を見る。

…とりあえずメタはなさそうだった。

でも造影CTで見たようにリンパ節転移はやはりあった。

原発巣は相変わらず大きいし。

 

画像を見るとやはり嫌だなぁと思ったが、メタがないと言う時点で少しホッとした。

 

その日はどこの病院で治療するか夜中まで調べてた。

咽頭癌は全国的にも症例は多くないようで、どうしたものかなぁと調べていた。

 

実家を離れて久々に一人の夜にどうかと思ったが、 意外とひとりの時間をゆっくりと過ごせた。

 

 

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