24歳でがんになった。~Return Match~

24歳にして突然の上咽頭癌ステージ4の宣告。その時私は〝がん患者〟になった。

胃ろう造設、3日間断食生活。

2020/01/15、PEG(胃ろう)造設を行ってもらった。

胃に穴を開けてそこから食事を取れる様にすると言うもの。

 

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私の場合、喉の頭側の方に放射線治療を受けるが、放射線を浴びた所は火傷の様な状態となるので食べ物をとるのは難しくなる。

そこで体力のあるうちに予めPEGを作っておき、必要であれば使用する。

2ヶ月間放射線治療はあるが、先生の予想では後半1ヶ月はPEGを使用する事になるだろうとの事だった。

 

他の栄養を得る手段として、経鼻チューブや静脈栄養があるが、経鼻は使用期間が普通〜1ヶ月以内である事、喉の炎症が予想される事から使用されなかったと思われる。

静脈栄養も、食事の代わりとして使用できるかは微妙だ。

PEGならば、一番口から摂取するのに近い状態で半固形の食品なども入れられる為、喉の炎症が治った時にすぐに食事を取ることができる。

胃に穴を開けると言う点で一番侵襲性(医学では、外的要因によって生体内の恒常性を乱す事象全般を指す用語)は高いが、そのメリットは大きい。

 

話は遡り1/14、PEG造設の1日前。

翌日の手術に向けて特にする事もないが入院となる。

しばらく食べられない様になるので昼食も夕食も外食で美味いものを。

「あと何回食べたら暫く飯が食えないんだ…」と言う生活は中々ストイックだ。

最後の晩餐という言葉があるが、まさにその通り。何を食べようか一食一食頭を抱えて吟味した。「この店イマイチだった」という様な事は許されないからだ。

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その日は夕食で腹いっぱいだったが、食後のコーヒーまでつけてしまった。

 

門限ギリギリの20時ごろ病院に戻る。

明日はPEG造設の小手術。流石に緊張する…

謎のDVDをみる様に言われてみた。

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 PEGのおかげて復活した爺が、悪の組織を木っ端微塵に吹き飛ばす展開にドキドキした。(大嘘)

 

1/15 AM8:30、胃カメラの部屋に徒歩で向かう。

暫くして名前を呼ばれて中に入ると、ドクター3名と看護師1名に迎えられる。

横になり麻酔をかけられると、そのままコトンと眠ってしまった。

 

目が覚めると腹に激痛が走る。時刻はAM10時過ぎ、慌ててナースコールを押す。

「痛み止めを打ってください…」痛み止めを静脈から注射してもらい治る。

そうか、腹に穴を開けたんだった…恐る恐る腹を覗き込むと奇妙な物体と管がついており、胃液と思われる物がドレナージされている。

自分の物とはいえ(むしろ自分の物だから)あまり気持ちの良い物ではない。

 

一度目が覚めると眠れやしない。

しかし今日の私はベット上での絶対安静。トイレもベットの上、座るのもダメ。

あちこちウロウロするのが好きな私はこれがキツかった。

 

トイレは尿瓶にする様に言われたのだが、そんな物にした事がないのでうまく出ない。

腹の痛みと伴ってうまく力が込められていなかったかもしれない。

5回ほどチャレンジしたが結局出ず、ナースコールを押して相談してみたが「みてますから」と。なんの羞恥プレイだ⁉︎みても状況は変わらない。むしろ緊張する。

結局、もう漏れそうだという時になんとか尿瓶に尿を出せた。

水も飲んでいないのでひょっとして出す物がないのではんないかと思っていたが、波並み2L位出た。よく我慢したぞ私…

  

する事もないので、できる限り目を瞑って寝た。スマホとイヤホンのおかげで目が覚めてる間は音楽が聞けた。次の日にはトイレには行ける事を知ってたので、それを楽しみに眠剤を打ってもらって朝まで寝た。

 

1/16

朝6時に目が覚める。

ベットの上で音楽を聴きながら、今か今かと回診の先生を待つ。

8時過ぎ、回診の先生がきた。調子はどうですかなんて会話をした後、去ろうとする先生に言った。「先生、トイレに行ってもいいですか」「あぁいいですよ」やった‼︎

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「ひゃっほ〜〜い‼︎」

苦節24時間、ついにこの床から離れられるのだ。私はうきうきでトイレに向った。

相変わらず腹は痛むけれど、感覚としては腹筋の筋肉痛の様な感じ。穴を開けてる割にはしれてるなぁと思った。

その日は8回、出す物もないのにトイレに立った。

 

この日も絶飲食だったので、カーテン越しの飯の音を羨ましいなぁと聞いていた。

幸い、私は飯を食えない様な生活を何度かしたことがあったので意外とこの我慢は出来た。しかしその日同居人がインスタントコーヒーを入れた様で、ものすごく良い香りを漂わせてきてこれはたまらなかった。

コーヒーはタバコや酒の様に中毒性がある。その時私は無性にコーヒーが飲みたいと思ってしまったのだ。

 

1/17 

今日は一つ楽しみがある。

その日も朝6時に目が覚めて先生を待ちわびる。先生がいらっしゃった。

「先生、今日から水を飲んでも良いですか?」「あぁ、いいですよ」丸2日ぶりに口から物を入れる許可を得た。

急ぎ足で自販機に向かい水を買う。ごくり、美味い‼︎しかし意外と感動はなかった。

山登りや運動した後の水の方が美味い…時間よりも苦労の方が勝つのかもしれない。

 

2日で2kg痩せた。こういうと、いっちょ僕もやるか‼︎というおデブちゃんが出てくるかもしれないが、私は専門家の指導の元で、補液を永遠と点滴していたので口から物を入れなくとも水分と電解質は摂取出来ていたから大丈夫だっただけであるので、良い子は真似しないでいただきたい。

しかし私の場合、胃には何も入っていないはずなのに不思議と腹も減らなかった。

 

その日、初めてPEGから半固形の食事をとった。看護師さん曰くイメージとしてはウィダーinゼリー位の形らしい。胃から直接流し込むので美味い不味いもないが、それでも満腹感はある。

手順を教えてもらい自分でやってみる。

腹から食事を取る事に違和感はあるが、意外とスムーズに食事を取れた。

物品を洗ったりせねばならぬ手間がある分、普通の食事よりも面倒臭い様に感じる。

一食300kcalとの事で今後、食事が取れない時はこれを利用する事になる。

 

1/18、朝起きると看護師さんが来てくれて調子はどうですかと聞いてくれる。ベットの上にいなきゃいけないのが辛いねと伝えると、ロビーに出てもいいし、部屋の椅子に座っていてもいいとの事。知らなかった。おかげでベットを脱却して部屋の椅子に座ってパソコンを叩けている。

この日の朝、丸3日ぶりの食事にありつけた。

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この病院のご飯は結構美味い。

 

食後にコーヒーを飲もうとすると、看護師に刺激物はちょっとと止められてしまった。

売店で「カフェイン97%カット」というカフェオレを見つけたのでそれで妥協した。

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97%もカットすれば確認するまでもなくこれはほぼ水だろう。

これ、カフェインが入っていない割に味はしっかりコーヒーである。

特に確認せずに飲んだが、その後栄養士の羽貫さんから「カフェインレスでもコーヒーは刺激物ではないか」との指摘を受けたが、華麗にスルーした。

 

好きな物を食べられるというのは本当にありがたい。

 

のらりくらりと書いてたブログも端折りに端折ったおかげでやっと追いついた。

私といえば病棟で毎日看護師さんのケツを眺めてるだけである。

世間では皆汗水流して働いているというのに、何の生産性もなく申し訳ない。

せめて、ブログくらいは頑張って書き続けたいと思う。

 

 

 

胃ろうという選択、しない選択 「平穏死」から考える胃ろうの功と罪

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