24歳でがんになった。~Return Match~

24歳にして突然の上咽頭癌ステージ4の宣告。その時私は〝がん患者〟になった。

新しい副作用とバイクのこと。

2020/01/30

 

昨日、体調不良があった為吐き気止めを点滴してもらった。

担当医から「体調は良くなりますが興奮して眠れなくなるかも知れません。」と聞かされてどんな薬だよと思ったのだが、聞かされた通り日付が変わっても眠れず、寝ても3時間で目が覚めて夕方のに至る。(おかげで気分は良い)

 

ちなみに使用した薬品はデキサートというもので、添付文書の副作用に不眠とあるのでこれだろう。

 

今日は天気が良かったのでロビーで本を読んでいて、夢中になっているとトントンと肩を叩かれた。

イヤホンを取り見上げると母親がいて、にこりと笑ってミスタードーナツの紙袋を出してきた。

 

そういえば甘いものを暫く口にしていなかった。

刺激の少ないノンカフェインのコーヒーを入れて準備は万端。

袋の中に手をやると、チョコレートがたっぷりとかかったドーナツが現れた。

久々の甘味で心が躍る。

 

 

 

 

 

パクッと一口、美味い!…はずだったのだが、どうも味が鈍い。もう一口、やはり甘みが分かりにくいようだ。

味は確かにわかるんだけど、鈍いというか薄いというか…チョコレートを水で溶かしたような感じ。

 

思うと、久々に飲んだコーヒーも少し薄いような感じがする。最近は塩っこいものが食べたくてそればかり食べていたので気付かなかったが、ある味がわかりづらくなってきているみたいだ。

 

後ほど看護師さんに相談するとシスプラチンの副作用のようで、治療が終わるまではどんどん悪化していき、しまいには味がわかりにくくなり甘い物が苦くなったりするらしい。看護師さんは「浅漬けの素」を味がわかるからと飲んでいる患者さんをみた事があるらしい。私も今塩っけのある物は美味いのでいずれそうなるのかもしれないが、強烈なエピソードだ。甘い物は今のうちに味わって置く必要がある。

 

「味がわかりにくいや」なんて話をしていると、暫くして母親は思い出したように鞄から一冊の本を取り出してきた。

「どなたからか、送られてきてたわよ。」

 

宛先を見ると馴染みのバイク乗りからだった。f:id:garnet1994:20200130184958j:image

 

 

治療が始まる前は大きなバイクに乗っていたのだが、治療で関西を離れる前に手放してしまった。

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(乗っていたCBR1000RR、今見てもカッコいい!)

 

その時はまだ大きめの癌がある事しかわからず、治療が出来るのか、もしかして余命を告げられるような状況かもしれないなんて、最悪のことも考えてしまって、もしバイクを動かす事もできないようになって大きなバイクが残ってしまったら家族に迷惑をかける、それよりは当面の治療費にでも…という気持ちが正直あった。

 

当時はネガティブになっていて、今となっては大きな決断を急ぐべきだったのかと思う事もあるが、そのバイクは馴染みの後輩の元に渡ったのでカスタムの進行など都度メールが送られて来るので悪くなかったと思っている。

 

学生の時スーパースポーツに(車で言えばスポーツカー、花形であるが高価)ものすごく乗りたかった。

彼も気持ちは同じだったろう。

僕の元からは離れてしまったけど、彼の嬉しそうな顔を見れば私も満足である。(肩の荷も降りたし)

 

そんなこんなで未練たらたらのまま一旦バイクはお休みしてた訳だが、当然治療が進むと「あれ、死なへんな!」「帰ったらバイク乗れるじゃないか!」となる。

 

街中を走るバイクを眺め、体調がいい日はハゲた髪を隠しながらバイク屋にも行った。

そうして次のバイクはどうしようかな〜と考えてた矢先、バイク仲間からこの本が届いた。

 

お礼のメールを送ると

「また一緒にツーリング行きましょう!」と励ましのメッセージが来た。

その彼とはバイクを通して知り合ったが、彼が歳上なのもあって公私問わずいつも助けられている。

彼は少し髪が薄く、仲間内ではいつもいじられていたのが、今度のツーリングの時は私は薄いどころかツルツルなのでその点は恩返しが出来るだろう。

 

ベッドの上でする事もない今、外の楽しい事を考えられる本が送られてきて私はワクワクである。

 

歳柄にもなく全く興味のない母親に、本を広げてバイクの話をしてしまった。

本を広げていた時に回診の先生が来たのだが、「バイクですか、ドゥカティはどうですか」と言われた。案外バイク乗りと言うものはいるものである。

 

今日は味がわかりにくい事に気づくという一つ悲しいことはあったが、連日沢山の人の励ましを頂いて、そんな事は忘れられるほどとても嬉しい気分である!

 

治療が終わる頃は春で、最高のツーリングシーズンだろう。今から穴が開くほど本を眺めてやり、療養後即、新車の契約も辞さない所存である。

生きてる限り、出来る事をうちに好きな事をやり続けたいからね。

そんな気持ちを持てたのは癌のおかげかも。癌子やるじゃん。

 

本を送ってくれたペリエさん、

本当にありがとうございました!

 

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