皆さんお久しぶりです。
随分久しぶりの更新となってしまい申し訳なかったです。
平日は仕事を終えるとクタクタで、土日も家の事をするのに精一杯で中々ブログを更新することができませんでした。
たくさんの方が応援してくれているこのブログ、頑張って更新すべきだとは思ったのですが、癌を経験しての私のモットーは「頑張らなくっていい」なので毎日22時に寝ていました。
今後も反省せずまた気が向いた時に書きます。
皆さんもたくさん自分を甘やかしてストレスを溜めないようにしてください。
それでは記事をどうぞ。
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今日は土曜日だがが、外は台風の影響で雷が鳴り響き、雨が降り続いている。掃除を終えてホッとコーヒーでも飲みに行こうと思っていたが、丁度家で過ごせるタイミングなのでブログを更新する事にした。
先日の更新のあとも様々なイベントが発生し、書きたい事はたくさんあるが、
闘病ブログなので今回は治療に関して起こったイベントを優先して記述しておく。
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私の癌が判明したのは、そもそも右耳の聞こえにくさが始まりである。
そもそも聞こえにくかった耳ではあるが、放射線治療が進むにつれてどんどんより聞こえにくくなった。
回数を重ねるごとに外耳(鼓膜より外、耳掃除するところ)が狭窄し、常に風呂上りのように湿っぽくなった。
治療が終わると湿っぽさは無くなったが、右耳の聴力はほぼ失われて体感としては左耳の1/4程度になってしまった。
癌専門病院の医師曰く、滲出性中耳炎によるもので切開しチューブを留置する必要があるが、他の耳鼻科のある病院でなければ出来ないと言われてそのままになっていた。
その手技も治療終了後1ヶ月以上開けて行ってくださいとの事だった。
軽快する事もあると聞いていたが、治療終了後5ヶ月経っても軽快しなかった為耳鼻科のある大きな病院(生検で癌を見つけてもらった病院)を受診した。
先生とは久々の再開で、よくやってきましたねと励ましてくれた。
早速今の症状を相談したところ、癌専門病院の医師と同じように浸潤性中耳炎であるとの診断を付けてくれた。
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この浸潤性中耳炎というものは普通子供がなるものではあるが、上咽頭癌の放射線治療の副作用としては頻出するものである。(1)
理由としては健常者では中耳の中の液を耳管を通し外に出す事が出来るが、何らかの理由で耳管が塞がれてしまうとその液を外に出すことが出来なくなる。
(下手くそなイラストですいません。)
鼓膜は太鼓の膜のような働きをしているが、太鼓のなかに水が入っているとその音が響かなくなるように、その中に水があると鼓膜から聴神経(正確には間にいくつかの骨と蝸牛を経由)へと音をうまく伝達することが出来なくなり難聴となる。
治療方法もは至って簡単で、行き場をなくした滲出液を出してやればいい。
イラストからも分かる通り、選択肢は一つしかなく、鼓膜に穴を開けて2mmほどの小さなパイプ状のチューブを留置する(鼓膜チューブ留置術)
なお、この留置術は普通慢性化した高度な滲出性中耳炎に対する対処であり、子供の滲出性中耳炎では薬を使った治療や穴を開けるだけの手技が行われるので「滲出性中耳炎」の検索からきたママさんはご心配なく。
この留置術を行う事のメリットとしては
・大きく聞こえが改善する
デメリットとしては
・水が耳から出てくる
・チューブが内耳側へ落ち込んでしまう可能性がある(取り出さなければならなくなる)
・プールに入る際は耳栓が必要になる。(普通に風呂に浸かったりは出来る)
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片耳しかほぼ聞こえていない状態は案外不便で、注意して人の話を聞かなければとっさに話かけれた時など全く理解できない。
もちろん左耳は聞こえるので何か話しかけられたなというのは分かるのだが、良く聞こえないおかげで理解できない外国語で話しかけられた感覚になるのだ。
こんな状態なので日常生活や仕事でも支障を来していた。
私はこの留置術に望みを託し、
癌治療終了5ヶ月後の2020年8月に耳管チューブの留置術を受ける事にした。
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外来のベッドに寝転がり外耳に綿棒で突っ込み麻酔を塗ってもらう、
麻酔が聞いたら先生が鼓膜にプッと穴を開けてチューブを置いて無事終わったようだった。
私は椅子に座っていただけなのでこういうのも悪いのだが、痛みもなくあっという間に終わった。
しかしこの留置術、小さいとはいえ手術扱いである。
(医療保険入っている人は請求を忘れずに。)
「耳から水が出るようになりますから」と注意を受けてから、支払いを終えて病院を出た。支払いは聴力検査含めて3万円くらいだった。
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道に出るとゴーッ‼︎と大きな音が響いた。
ジェット機でも墜落したのかと振り返ると、大きなダンプが道を走っているだけだった。ミンミンとセミがうるさい、横断歩道はピヨピヨと渡るように急かしてくる。
世界はこんなにも賑やかだったのか。
片耳の聴力が回復しただけでこんなにも良く聞こえるようになるとは思わなかった。
しかし、5分もするとその環境にも慣れてきて聞こえやすくなった。
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その日から僕の右耳は少し聞こえにくい人程度にまで聞こえるようになった。
具体的には高音は聞こえにくいが、低音は良く聞こえているようである。
職場はドスのきいた声の男ばかりで、明らかに会話が聞こえやすくなった。
引き換えに、先生が行ったように耳からサラサラの鼻水のような黄色味がかった滲出液(いわゆる耳だれ)が出てくるようになった。
あまり綺麗ではないが、汗のように滲むように出る程度なので、外耳の中で止まってくれるのでそれほど問題ではない。
30分に一度くらいの頻度で、テッシュを外耳に突っ込んで拭いている。
量は少ないが頻度が多いといったところかな。
寝ている間は枕にタオルを敷いて右側を下にして水を出している。
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というわけで今回は放射線治療によって発生した滲出性中耳炎の治療として鼓膜チューブ留置術を行った経験の報告であった。
耳から水が出るというデメリットもあるが、聞こえの改善というメリットが大きかったので私はやって良かったと思っている。
もし同じような症状に悩まされている方はぜひ検討されてください。
【追記】2021年1月
それまで耳だれで耳の中(外耳道)が汚れてくるため、3週に1度ほど診察に通い掃除をしていただいていた。
ある時、幸運が重なって偉い先生に診てもらえる機会があった。
先生は耳を見るなり「あーこれは感染やね、コレ塗っといて」と言って一瞬で診察が終わった。
偉い先生と聞いていたのに一個薬出して終わりかい〜と、思っていたのだが…
その塗り薬を2晩塗ると耳だれは治った…
偉い先生は偉いと言われるだけの事があるなぁと関心してしまった。
それからもう耳だれが出ることは無くなって、診察も数ヶ月ごとで良いことになった。
診てもらう医師や病院を変えてみるのは大切なだなぁと思った。
現状、耳管チューブはなんの問題もなく機能してくれている。
個人的には耳だれが出なくなったらもうチューブはいらないのではないかとも思うのだが、どうだろうか。
また追記あれば更新します。
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参考文献
(1)
日本耳鼻咽喉科学会会報専門医通信 著者:脇坂 浩之 2014 年 117 巻 6 号 p. 840-841化学放射線治療による聴器障害
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